懐かしい思い出を回想して認知症予防!

認知症ケアにも期待大!グループ回想法の実践方法

グループ回想法の実践方法

認知症ケアや介護ケアの方法として注目の回想法には、グループ回想法と個人回想法の2種類があります。今回は、グループ回想法の実践方法について紹介します。

グループ回想法の実践方法

グループ回想法の進め方

グループ回想法を実践する場合、まず回想法の目的を設定します。日時とテーマ、実施回数が決定したら、招待状と参加簿を作成して参加者に届けます。自分宛の名前が書かれている招待状は、参加への期待を高める効果があります。参加簿が残れば、認知症の影響で参加そのものを忘れてしまったときに記憶をたどることができるでしょう。グループ回想法は6人から8人程度のグループにまとめるのが一般的です。最初の参加テーマは誰もが気軽に参加できそうな楽しいテーマを選び、最初から深い話になりすぎないよう配慮します。参加者以外では、リーダーとサブリーダーの2人は最低限必要です。人員の確保が可能であれば、もう2人程度のスタッフがいると安心です。当日は、まずオリエンテーションと自己紹介からはじめます。オリエンテーションでは、この日話されたことを口外しないことや他の人の話を否定しないこと、話したくないことは無理に話さず、嫌な気持ちや辛い気持ちになったら席を外して良いことなどを簡潔に説明します。各回の進行はリーダーが行います。挨拶の後にその日のテーマを紹介し、回想に使用する用具を見せて参加者ひとりひとりに質問をしていきます。参加者同士で会話が弾むようならば、様子を見ながらそのまま会話を進めてもらいます。話がそれたようならばリーダーが軌道修正を行い、参加者全員が発言できるよう時間配分を考えながら進行していきます。最終回には、それまでの感想を振り返ります。

グループ回想法の注意事項

リーダーの基本姿勢は、相手の呼吸に合わせながらの「傾聴」です。参加者の中で話が好きな人と控えめな人をリーダーの隣に配置すると進行しやすいでしょう。特に援助が必要な人には、そばに他のスタッフがいるようにします。認知症の方とそうでない方が一緒に参加する際には、認知症の方の話し方や話のテンポに合わせていくようにすると効果的です。参加者が昔の世界に入り込んだまま終了してしまうと、混乱したり興奮状態に陥ったりする危険があります。そのようなことがないよう、「今日は〇〇年〇〇月〇〇日です」と行って一緒に手をたたき、現実に戻ってもらうようにします。

実践例その1

回想法の実践例としてまず紹介するのは、大阪人間科学大学による回想法の実践例です。人間科学部社会福祉学科の介護福祉専攻3年次生が、デイサービスで認知症の方に回想法実践しました。

実践例その2

社会福祉法人緑樹会の地域支援室が介護事業所にて開催した「カフェ・ド・きよさと」では、地域を創る・地域をつなぐ活動の一環として「地域回想法」を実施しています。毎回多くの人が参加し、パソコン回想法やゴムとびやお手玉などの遊びなどを通して、地域の人同士があたたかく楽しいひとときを過ごしています。

回想法を詳しく学びたい人へ

正しい知識を持つ必要がある

正しい知識を持つ必要がある

介護職が回想法を実施する場合、正しい知識を身につけておく必要があります。特に注意すべきなのは、実施者の思い込みや偏見が入った自己流の回想法にしないことです。高齢者すべてが同じ価値観や感じ方をするわけではなく、昔のものを見たり聴いたりして懐かしいと思えるかどうかは個人差があります。介護職が回想法に関する正しい知識を身につけるのに役立つのが、「心療回想士」や「認知症ライフパートナー」などの民間資格です。

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