懐かしい思い出を回想して認知症予防!

回想法を家庭で取り入れる方法

家庭での取り入れ方

回想法は高齢者の認知症ケアや介護ケアに高い効果を発揮する方法ですが、どのような方法で行うかで結果に差が生じます。家庭で個人回想法を取り入れる場合、病院や施設など実施される個人回想法とは違う点で注意すべきことがあります。

家庭での取り入れ方

家庭で回想法を取り入れるには

回想法そのものは難しいことではなく、どのような場面であってもすぐに取り入れることができる方法です。宮城県仙台市を拠点に活動しているNPO法人は、故郷の風景を写真や8ミリフィルムで再現し、昭和のころの生活用具などに触れながら会話を楽しむ会を宮城県各地で開催しました。震災で被災した地域の高齢者が、回想法によって新たなコミュニティに参加するきっかけを得ています。地域社会におけるこのような取り組みは、高齢者の孤立を防ぎつつ認知症をはじめとする病気の進行を抑制する効果が期待できます。家庭において回想法を取り入れる場合、施設などで実施されているような回想法のルールを気にする必要はありません。実施方法についてあまり難しく考えず、昔懐かしい話をしながらあたたかな時間を過ごすことを意識しましょう。ポイントは、高齢者が心地よく昔を思い出せるような環境を作ることです。昔の記憶がうまく言葉にならなくても、表情やしぐさなどから心地よさを感じているかどうか判断できるでしょう。

家庭で回想法を取り入れる際に注意すべきこと

家庭で回想法を取り入れる場合、いかに非日常に戻ってもらうかが成功を左右するポイントとなります。今日常生活を送っている場所ではどうしても日常を感じてしまうため、昔の話をしていてもふとしたきっかけですぐ気持ちが現在に戻ってしまいます。日常と非日常をしっかり分けるという意味でも、回想法を行う場所はよく選ぶようにしましょう。とはいえ、自宅には回想法に使用できる古い生活用具や写真などが保管されています。アルバムや昔のお土産、大切に保管してきたものなどを出してきて、思いつくままに話してもらえるのは自宅ならではのメリットです。
自宅で家族と回想法を実施すると、昔を懐かしむ話から深刻な話に軌道がずれてしまったり、怒りや悲しみの感情を呼び起こしてしまうこともあるでしょう。家族だとつい話を否定したり感情的になったりしてしまいがちですが、回想法であることを常に忘れずに傾聴を意識しましょう。本人が疲れ果てるまで話を続けさせるのではなく、適度なところでクロージングを行うことも大切です。クロージングは本人が心地よいと感じている状態を見計らい、非日常から日常へと戻すきっかけを作りましょう。回想する時間とそうでない時間の区切りをしっかりと設けることで、記憶の混乱や不安の増長などを防ぐことができます。

回想法を詳しく学びたい人へ

正しい知識を持つ必要がある

正しい知識を持つ必要がある

介護職が回想法を実施する場合、正しい知識を身につけておく必要があります。特に注意すべきなのは、実施者の思い込みや偏見が入った自己流の回想法にしないことです。高齢者すべてが同じ価値観や感じ方をするわけではなく、昔のものを見たり聴いたりして懐かしいと思えるかどうかは個人差があります。介護職が回想法に関する正しい知識を身につけるのに役立つのが、「心療回想士」や「認知症ライフパートナー」などの民間資格です。

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