懐かしい思い出を回想して認知症予防!

回想法の基本的な準備と注意点とは

基本的な準備と注意点

回想法は、認知症だけでなく介護が必要な高齢者のケアや介護予防に役立つ優れた方法です。ただし、回想法の効果を最大限に引き出すためには準備が必要で、注意すべき点もいくつかあります。

基本的な準備と注意点

回想法の準備はしっかりと行う

回想法は人の心に触れる行為でもあるので、何よりもまず本人の状態を確認しておく必要があります。コミュニケーション能力や聴力など、ある程度正常なやり取りができるかどうかで、回想法の効果のほどが大きく変わります。個人で行うかグループで行うかは、その人の状態をよく見て判断しなければなりません。心の奥にあるものを全て引き出そうとするのではなく、触れてもいい話題とそうではない話題はしっかりと線引きしておきましょう。回想する人の基本情報について知っておくと、聞いた話をよく理解することができます。昔の写真や使っていたものなどを用意しておくことで、過去のことを思い出しやすくなります。

事前に把握しておくべきこととは

回想法を行う上で覚えておきたいのは、個人のプライバシーには十分配慮すべきであるということです。
把握しておくべき基本情報としては、氏名や生年月日、年齢、家族構成、出生地や現住所などです。その他、学歴や職歴、病歴、生活環境、生活パターン、好き嫌い、趣味、特技、過去に強く印象に残った出来事などを聞き取っておきます。

回想法に用いる道具

回想法では、記憶の奥深いところから情報を取り出すために道具を使用します。道具を使用すると、昔の出来事について早く鮮明に思い出すことができます。昔の写真や好きだった音楽、映画、本、長年使っていた生活用品、ゆかりのある土地の食べ物などは、手にとった瞬間に当時の自分を思い出す大きな助けになるでしょう。

回想法で注意すべきこと

回想法で気をつけなければならないのは、プライバシーや尊厳の保護です。人間関係や性的な話題、健康に関する話題など、普段は他の人に知られたくない内容にまで話が広がる可能性があります。秘密保持は基本中の基本なので、回想法を実施する際には十分そのことを理解しておきましょう。グループで話し合いをしていると、事実との相違や話の食い違い、認識の違いなどによる摩擦が生じる可能性があります。どのような話であっても、その時話されている内容が話し手が認識している事実であることを受け止めましょう。本人があまり語りたくないと思っていることは、無理に探り出さないようにします。表情などから話したくない雰囲気を察知したら、話題の向きを変えるなどの工夫が必要です。昔の話は楽しい反面、話すだけでもかなりのエネルギーを使います。良い印象で話を終えるためにも、きりの良さそうなところでうまく話を終了させるようにしましょう。

回想法を詳しく学びたい人へ

正しい知識を持つ必要がある

正しい知識を持つ必要がある

介護職が回想法を実施する場合、正しい知識を身につけておく必要があります。特に注意すべきなのは、実施者の思い込みや偏見が入った自己流の回想法にしないことです。高齢者すべてが同じ価値観や感じ方をするわけではなく、昔のものを見たり聴いたりして懐かしいと思えるかどうかは個人差があります。介護職が回想法に関する正しい知識を身につけるのに役立つのが、「心療回想士」や「認知症ライフパートナー」などの民間資格です。

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